ここでは、Soft-OCUの1要素のコンクリートモデルを用いての検証を行う。
検証項目
ここで、検証を行うプログラムは下記の2つのプログラムにより検証する。
ここで用いる解析モデルは、コンクリート系構造の部材解析モデル と設計への応用(日本建築学会,p156)に掲載されているモデルを採用した。
図 : 1要素モデルと境界条件
ここでは、コンクリート系構造の部材解析モデル と設計への応用(日本建築学会,p156)に掲載されているN-55の材料に着目し、 コンクリート標準示方書(2007年度版)に従い種々のコンクリート物性値 を算出する。
試験体番号 | 水セメント比 (%) |
調合(kg/m3) | |||
セメント | 水 | 細骨材 | 粗骨材 | ||
N-55 | 55 | 377 | 207 | 641 | 1040 |
試験体番号 | 圧縮強度Fc (N/mm2) |
圧縮強度時ひずみ (×10-6) |
ポアソン比 ν |
弾性係数 Ec ×104 (N/mm2 ) |
N-55 | 34.5 | 1870 | 0.19 | 3.16 |
算出条件:前記の調合数値に加え、乾燥収縮開始材齢3日、平均湿度60%、また、 体積/表面比(V/S)=200mmとしてコンクリート標準示方書(2007年度版)で算出
算出条件:前記の調合数値に加え、載荷材齢3日、平均湿度60%、また、 体積/表面比(V/S)=200mmとしてコンクリート標準示方書(2007年度版)で算出
ここでは、下図に示すように、コンクリート材齢3日に荷重を載荷して、60日後に荷重を除去した場合を考える。
図 : クリープ解析例01
考慮する物性値:弾性ひずみ、クリープひずみ(乾燥収縮は無視)、弾性係数変化無視
出力 : 材齢3日から2年後までのコンクリートのひずみ又は変形をグラフ化する
目的1: 荷重載荷から60日までのクリープ変形(ひずみ)が入力した弾性ひずみ×クリープ係数になっているか確認
目的2: 荷重除去60日以降の回復クリープ変形(ひずみ)の確認(Step by Step 等のクリープ解析を厳密に行っているかの検証)
下図にクリープによる天端の変位履歴結果を示す
---------------- 「チェック」-----------------------
クリープ変形についてSoft-OCUは、 ほぼ理論値と一致、また市販のソフト(ASTEA MACS)とも合う ことが証明された。
注) 60日目に荷重を除荷し、その後100日目ぐらいまでは戻り変形(回復クリープ) が見られるが、それ以降、僅かであるが、また、クリープ収縮変形が進行しているような 結果となっている。これは、コンクリート標準示方書(2007年度版)のクリープ予測式 に回復クリープの影響が考慮されていないためである。回復クリープが考慮されている道路橋 示方書などの予測式を用いると、理想的な載荷除荷のクリープ変形結果が得られるものと思われる。
ここでは、下図に示すように、乾燥収縮が生じるコンクリートの変位(ひずみ)および引張応力を解析する。
考慮する物性値:弾性ひずみ、乾燥収縮ひずみ、クリープひずみ(乾燥収縮により発生したクリープひずみ)、弾性係数変化無視
出力 : 2年後までのコンクリートの変位(ひずみ)進行および引張応力進行
目的1: 60日までひずみ進行が入力した乾燥収縮ひずみに相当するかを確認
目的2: 60日以降、クリープを考慮した引張応力が発生しているか確認
下図に乾燥収縮による天端の変位履歴結果を示す
---------------- 「チェック」-----------------------
乾燥収縮変形についても、入力した収縮ひずみデータに部材長Lをかけた値を示しており、 また、市販ソフト(ASTEA MACS)の結果と一致したことが確認できた。
下図に乾燥収縮による要素の応力変化履歴を示す
---------------- 「チェック」-----------------------
乾燥収縮ひずみを拘束することにより、発生する変化応力については、市販のソフト (ASTEA MACS)と同じ結果となり、Dischingerの微分方程式や道路橋示方書から求められた 結果より変化応力は小さい値を示している。
この要因としては、Soft-OCUやASTEAはStepByStep法を用いているので 逐次発生する変化応力のクリープを厳密に評価しているため、乾燥収縮ひずみ によって発生した変化応力がより厳密に緩和されたことにより小さくなている と考えられる。
以上の試算解析の結果から、単一要素のクリープ解析においてSoft-OCUの 妥当性が証明された。